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罰しても減らないストーカーは治療で治る??

ストーカーの手口には様々なものがありますが、それらはストーカー規制法によって罰せられる立派な犯罪です。

しかし、ストーカーには「悪意」がないため、刑罰により罰してもなぜ自分が罰せられたのか自覚できないこともあります。

ストーカーにストーカー行為を止めさせるためには精神的な治療が有効な場合もあります。ここではストーカーの心理とその行為を止めさせるための治療について解説していきます。

 

ストーカーの心理・メカニズム

ストーカーの心理には、大きく分けて4つのタイプがあります。この分類法はストーカー研究の第一人者であるオーストラリアのミューレン医師により定義されました。

ここではその4つのタイプを紹介していきます。

 

親密追求型

「親密追求型」のストーカーとは、ストーカー被害者と親密な恋愛関係になることを強く望み、一方的に自分の好意を押し付けてくるタイプのストーカーのことを言います。

ストーカー被害者を自分の理想の女性であると根拠もなく妄信的にある意味において神格化してしまいます。

そのためストーカー被害者がストーカー本人を孤独や寂しさ、コンプレックスなどの負の感情から救ってくれると信じてストーカー行為を行います。

また、このタイプのストーカーの特徴にストーカー被害者に対して保護者的な愛情を注がれることを望むというものもあります。

 

無資格型

「無資格型」のストーカーとは人格障害などの精神的な疾患を抱えているストーカーのことをいいます。相手の立場や都合を考えずに一方的にストーカー被害者にストーカー自身の欲求をぶつけるためにストーカー行為に及びます。

このような状況の中でストーカー本人が全く罪悪感を感じていないことが特徴で、ストーカー被害者はストーカーの要求に応じることが当然であると考えています。

 

憎悪型

「憎悪型」のストーカーとはあまり親しくない人などに対して恐怖や混乱を感じさせるためにストーカー行為を行うタイプのものを言います。

ストーカー被害者とのほんの些細な接触をもとにストーカー本人が自分を被害者であると考えることからストーカー行為に走ってしまいます。

ストーカー本人が自分を被害者であると認識しているため、ストーカーがストーカー行為を行うことは当然であるという考えをもち、ストレス発散のためにストーカー行為を行うことが特徴です。

 

拒絶型

「拒絶型」のストーカーとは、元恋人や元夫婦などがふられたり、離婚されたりという理由で拒絶されたことからストーカー行為に及ぶようになるタイプのことを言います。

この「拒絶型」がストーカーの中で一番多く、ストーカー行為の目的も最初はよりを戻そうとすることが目的となりますが、最終的にはストーカー本人を拒絶したことに対する復讐へと目的が変わってきます。

このタイプのストーカーの心理的背景は複雑ですが、「復讐心」と「被害者意識」が大きな背景となります。

このタイプのストーカーは非常に危険で、最終的には傷害や殺人などの凶悪事件に発展する可能性が高いことが特徴です。

 

ストーカーの再発を防ぐために

日本におけるストーカー再犯率の正確なデータはまだ十分に集まっていないのが現状です。しかし、ストーカー対策に力を入れている兵庫県警の調査によると、ストーカー犯罪で検挙された犯人のうち6人に1人が再犯に及ぶというデータがあります。

このように検挙され、罰則を課せられても再犯に及ぶストーカーは少なくありません。では、どの様にすればストーカーの再犯を防ぐことができるのでしょうか?

近年ではストーカー犯罪で検挙された犯人に対して罰則を課すだけではなく、精神面の治療を行うことで再犯を防ごうとする取り組みが始まっています。ここではその取り組みについて解説していきます。

 

ストーカーの再発を防ぐのは「罰則」ではなく「治療」?

日本の犯罪再犯率は約50%と言われていますが、それに比べるとストーカーの再犯率は低いように思われます。しかし、ストーカーの再犯で恐ろしいのは再犯率の高低ではなく、再犯時に犯行の内容がエスカレートする可能性が高い点にあります。

金銭などを目的とした犯罪には刑罰を課すことが抑止力として効果的なのに対し、ストーカー犯罪にに刑罰を課すことが逆効果になることもあり得るのです。

その理由はストーカー犯罪を犯す犯人はリスクを度外視して同じ人物をつけ狙い、目的が達成されるまで諦めない傾向があるからです。

また、このような犯人は罪悪感を持たずにストーカー行為を行うため、警察や司法が介入した場合に被害者を逆恨みすることもあります。

ストーカー加害者は自分がストーカーという犯罪を自覚していないので、自分が加害者であるという認識がありません。
なのでカウンセリングなどによる治療により、自分の行っていることが犯罪であるということを認識させることが、ストーカー犯罪の再犯や犯行がエスカレートすることを防ぐために有効です。

 

ストーカーの治療法

ストーカー犯罪者に精神面からアプローチする治療が再犯や犯行のエスカレートを防ぐために効果的であることは前述しました。

ここでは、ストーカー行為を一種の依存症と捉えて治療していく方法について解説していきます。

 

内観療法

内観療法とは、ストーカー加害者本人が研修所に一週間籠り、父母や配偶者、子供などの身近な人々との関係をお世話になったこと、世話をして返したこと、迷惑を書けたことの三点に絞って想起し、1~2時間ごとに3~5分カウンセラーに内観した感想を報告する療法です。

この内観が効果的に行われると、情緒の安定につながり周囲の人に思いやりの心を持つことができるようになります。

 

条件反射制御法

ストーカー加害者は、ストーカー行為を止めなければいけないと分かっていても、過去にストーカー行為を行ったのと同じ状況になるとストーカー行為への欲求が高まり、行動に移してしまいます。

この条件反射制御法という治療法は、ストーカー行為を行いたいという欲求を押さえる治療プログラムです。

 

認知行動療法

認知行動療法とは、認知(物事の捉え方)に働きかけてストーカー行為を行いたいというストレスに対応するための治療法です。

この治療法を行うことによって、考え方のバランスを取りストーカー行為を行いたいという衝動を抑えていきます。

 

ストーカーの加害者は更生できる?

警察の働きかけを受け、前述したようなストーカー行為に対する治療を受けたストーカー犯罪は、治療後に同様の行為を行った人はいません。

このような結果から、ストーカーに対する精神的な面からのアプローチによる治療は、ストーカーの加害者の更生に非常に効果的であることが分かります。

しかし、警察の働きかけを受けてこのような治療を受けるストーカー加害者は全体の25%にとどまっているのが現状です。

ストーカー行為は精神医学上では依存症に分類されるので、自力で更生することは困難です。専門家の助けを借りてストーカー加害者本人が自分が病気であると認識し、積極的に治療を行うことで更生することが可能です。

 

まとめ

ここまで、ストーカーの種類とその治療法、治療によりストーカー加害者が更生可能かどうかについて解説してきました。

その種類のストーカーに関しても精神医学的なアプローチの治療を行うことで、更生が可能であることがお分かりいただけたと思います。

しかし、そのための治療には長い期間を必要とし、ストーカー加害者本人が治療対して積極的になることが必要です。

そのためにはストーカー本人が自分の行いが犯罪であり、また依存症であることを認識する必要があります。